2015/10/09
今月中頃からマイナンバー通知カードの送付が始まります。すでにマイナンバー関係の詐欺事件も起こってしまっているようで、来年1月からの本格的な運用を前に、不安な気持ちが大きくなっている方もいらっしゃるかもしれません。
『ひねの通信』第18号では、マイナンバー制度について取り上げました。
まだ実際使いもしていない、手元に届いてすらいない、でイメージが湧きにくいかもしれませんが、ぜひご覧ください。
恐怖?便利?マイナンバー制度
ついにマイナンバー制度が始まりますね。過去には「国民総背番号制」という名前でイメージの悪かったこの制度ですが、名称を変更してついに運用が始まろうとしています。
マイナンバー制度ですが、今は税、社会保険での使用が決定されています。しかし、今後、銀行、証券会社などの金融機関でも使用されるようになります。不動産登記制度とヒモ付ければ、個人の資産の大半がマイナンバーで捕捉されるようになります。
さらに、マイナンバーカード(希望者に交付されます)は、民間にメモリが開放されており、その領域の活用が期待されています。私はカードはできる限り持たないようにしていますが、それでも財布を見ると、三菱東京UFJ銀行のキャッシュカード、JCBカード、VISAカード、新幹線のEX-ICカード、日本公認会計士協会の研修カード、健康保険証、運転免許証と7枚もカードが入っています。
マイナンバーカードを民間にも開放することで、これら7枚のカード情報がマイナンバーカード1枚に集約され、持ち歩くカードは1枚だけにできるかもしれません。さらには引越ししたときに、引越手続きが1回で済むようになるかもしれません。そうだとしたら、とても便利ですよね。
相続税の申告の際には、故人の資産・負債を全て把握して確定申告しなければなりません。しかし、もしもマイナンバーがこれだけたくさんの情報とヒモ付けられれば、大半の資産、負債(住宅ローン等)を自動的に税務署側で集計することができるようになります。もしかしたら、相続税の確定申告は原則賦課課税、という時代が来るかもしれません。(賦課課税とは固定資産税のように、税額を課税側が決定する方法。納税者としては確定申告の必要がない。)税理士がいらなくなってしまいますね。
マイナンバー制度は、データ化される個人情報がますます増え、個人情報が流出したときのリスクはさらに高くなります。そういう意味ではとても怖い制度です。一方で、上記のように便利になる側面もあるわけです。
企業において間接部門(経理部門、総務部門)は、売上を獲得することには直結しない部門です。これを日本という国に当てはめてみると、国税局・税務署、社会保険庁、税理士は間接部門といえるでしょう。国税局・税務署に配置される人員は5万5千人、社会保険庁の職員数は約2万人、税理士は日本で約7万5千人。マイナンバーの導入をきっかけに日本全体でこれら間接部門の人員を削減し、各企業の研究開発部門や海外営業部門に配置される人員が増えれば、社会全体でみたときに、より豊かな社会につながるのではないかな、と思います。
(次長 公認会計士・税理士 日根野健)