2018/10/11
今年は、大雨、地震、台風などで各地に被害が出ていて、自然災害が本当に多いですね。大雨や台風は事前の予報で知ることができますが、地震は突然ですので本当に怖いなと思います。関西でいえば、南海地震が言われ続けています。起こらないで欲しいと強く思いますが、対策だけはしっかりしておかないといけないなと、改めて思う今日この頃です。
それでは、『ひねの通信』第30号をご覧ください。
米中貿易戦争から80年前を想う
アメリカが中国からの輸入品に高い関税をかけ、それに中国が報復し、さらにアメリカが報復する、という形で、米中の貿易戦争が激化しています。次は日本が対象になるかもしれず、戦々恐々とした気持ちになります。
私が感じている恐怖感のようなものを、1930年代に世界の多くの人々が感じていたのだろうと想いを巡らせています。
今から89年前、1929年、世界恐慌が始まりました。当時のアメリカその他の列強国家は、輸入品に高関税をかけ、自国と植民地とを経済的に保護(ブロック)しました。列強国家と植民地を持たない国々との格差ができ、第二次世界大戦へと時代が進んでいきました。列強国家による貿易戦争(ブロック経済)が、第二次世界大戦をもたらした大きな要因と言えると思います。
現在に眼を転じると、世界一の経済大国であるアメリカが、自国の利益を優先し、保護するために、保護貿易を強化し、周辺国に不満がたまっています。一方で、国内ではトランプ大統領を強く支持する人たちが多数存在しています。その熱狂ぶりを見た他国の政治家たちが、やはり自国の利益を優先した政策で人気を集めつつあります。
「現在の流れはよくない、そのような強権的な政策は望ましくない、共存共栄の道を探そう」と思っている人もたくさんいますが、時代のうねりは自由よりも保護、宥和よりも対立という方向に進んでいます。
きっと第二次世界大戦が始まった時代も、そうだったのだろうと思います。貿易戦争が始まる中で、良識のある人たちの願いは届かず、時代の流れが貿易戦争を激化させ、本当の戦争へと進んでいきました。
第二次世界大戦が終わったのが1945年ですから、そういった戦争当時の様子、戦争に至る流れを体験してきた人たちは、今の現役世代には、もういません。今の世界の現役世代は、みな大戦を知らない世代です。
もしも、1930年代に生きた人たちを今の時代に呼び出すことができるなら、当時の時代の雰囲気と今の時代の雰囲気を比べた感想を聞いてみたいものです。
賢者は歴史に学ぶ、と言います。秋の夜長に、1930年頃のブロック経済の歴史を振り返る書物にあたってみようと思います。
(次長 公認会計士・税理士 日根野 健)
ご存知ですか 相続した空き家を売った時の特例
平成28年度の税制改正で、亡くなった方のご自宅不動産を相続又は遺贈で取得し、売却した場合に、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる特例ができました。
・亡くなった方が亡くなる直前まで1人で住んでいた家
・昭和56年5月31日以前に建築されていること
・区分所有建物(例:マンションの1室)でないこと
①家屋(又は家屋と敷地)を売却する場合の要件
・相続後、貸付や居住の用に供していないこと
・売却時に家屋が一定の耐震基準を満たしていること
②家屋を取り壊して、敷地を売却する場合の要件
・相続後、貸付や居住の用に供していないこと
①、②いずれの場合でも、相続日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却し、売却代金が1億円以下であることが必要です。
現状では、この特例が適用できるのは平成31年12月31日までの売却についてですが、期間延長や要件緩和の要望が出されており、今後どのようになるかはまだ分かりません。この特例の利用を検討される場合には、ぜひご相談ください。