新店舗の出店について、淡い夢を描いていたヨシコ社長。友人の会計士の助言もあって、甘い判断で投資してしまう一歩手前で踏みとどまりました。

 

　それでは、今一度、投資を見直してみましょう。

 

席数と初期費用の見直し

 

 

　席数を増やしつつ、初期費用は抑えることで、もう一度、候補に挙がっている物件の良し悪しを判断してみるつもりのようです。

 

　内装は、お金をかけようと思えばいくらでもかけられます。しかし、今回は居酒屋業態で、あまりお金をかけすぎる必要はありません。内装費用の目安は坪当たり30万円です。

　候補に挙がっている物件は20坪の店ですから、20坪×30万円＝600万円となります。3年で償却するとすれば、1ヵ月当たりは約167,000円になります。

 

　敷金は家賃（20万円）の6ヶ月分に交渉して120万円まで値切りました。

 

　次の問題は、30席まで増やしたとして、実際に回転させられるかどうかです。

 

商圏調査と席数の見直し

 

 

　公認会計士はおもむろに立ち上がり、パソコンに向かいました。グーグルマップで新規出店の候補地あたりの地図を打ち出します。

 

 

 

　候補地の周りにどれくらいのビルが建っていて、それぞれのビルに何人くらいの会社員（＝見込み客）がいるか、数えるつもりのようです。候補地より駅に近いビルからの来客は期待できません。候補地を挟んで駅よりも遠方にあるビルが対象です。

 

　対象が決まれば、次は現地調査です。ビルに1棟ずつ入っていきます。　

 

 

　地道に候補地の近くのビルを視察しては、メモしていきます。

 

　一定の仮定をおいて、商圏にどれくらいの人口がいるかを試算してみました。その結果、約3万人の人がいるという結論に達しました。

 

 

　う～ん、う～ん、う～ん、と唸りながら計算を繰り返しています。

 

　計算の結果、

　昼30席×1.6回転＝48人

　夜30席×0.7回転＝21人

はどうにか集客できるだろう、という結論に至りました。

 

　さて、損益を試算し直してみましょう。

 

売上

　昼30席×900円×1.6回転×26日＝1,123,200円

　夜30席×3,500円×0.7回転×26日＝1,911,000円

　合計　3,034,200円

 

材料費は　3,034,200円×32%＝970,944円

人件費は　3,034,200円×33%＝1,001,286円

経費は　　3,034,200円×10%＝303,420円

家賃は　1坪10,000円×20坪＝200,000円

本社費は　2,022,800円×10%＝202,280円

償却費　167,000円

 

差引き　189,270円の黒字！

 

　席数や初期費用を見直し、なおかつ商圏調査も踏まえて、ある程度集客の見込みも立ちました。ヨシコ社長も決心しました。

さあ、いよいよ新規出店です！

 

　新規出店を決意したヨシコ・キッチン。さて、ここからどうなっていくのでしょうか。次回は1月20日頃アップ予定！