2015/11/20
ヨシコ社長のもとに空きテナント情報が舞い込んできました。
オフィス街、20坪の路面店で2階。1坪1万円です。
以前は会社が入っていたのですが、飲食店としても利用可能。駅からは少し遠いですが、近くに飲食店はたくさんあるので、潜在的な顧客はたくさんいそうです。
今までの新規出店は居抜き(以前に別の飲食店が入っていたところに入居する)だったので、席数のことや店内のレイアウトなど、あまり真剣に考えたことが無かったヨシコ社長。
ヨシコ社長は、以前にも相談にのってもらった大学の同級生の公認会計士に相談してみることにしました。
彼は、ヨシコ社長に矢継ぎ早に質問していきます。
飲食店の席数については1坪1.5席が目安になります。ですから、20坪の店であれば20坪×1.5=30席です。ヨシコ社長のイメージしている店は20席しかないようですが、採算は大丈夫でしょうか?とにもかくにも、20席で収支を計算してみましょう。
毎週日曜日を定休日にするとして1ヵ月26日開店するとしましょう。
売上は、
昼20席×1,000円×2回転×26日=1,040,000円
夜20席×3,500円×1回転×26日=1,820,000円
合計 2,860,000円となります。
材料費は 2,860,000円×30%=858,000円
人件費は 2,860,000円×30%=858,000円
経費は 2,860,000円×10%=286,000円
家賃は 1坪10,000円×20坪=200,000円
本社費は 2,860,000円×10%=286,000円
差引き 300,000円
とヨシコ社長は満面の笑みです。
反対に、友人の公認会計士は渋い顔。
ここは大阪のオフィス街。ランチに1,000円というのは、高価格帯です。少しリッチなレストラン業態ならいざしらず、居酒屋業態の店でランチに1,000円取る、というのはなかなか難しく、客単価でいうと900円がいいところでしょう。
オフィス街ですので、平日昼間の2回転というのはどうにかなりそうですが、土曜日は1回転もしないでしょう。ならして考えれば、昼は1.6回転くらいが現実的。
また、この界隈では帰りに1杯飲みに行くには駅から少し遠いこともあり、不便です。もう少し駅近の店が好まれます。土曜日の夜はほとんど来客がないはずで、休みにしてもよいくらいです。そう考えると夜は0.7回転くらい。
ヨシコキッチンの過去の材料費率を見ると、よいときで32%くらい。人件費率は33%くらい。
最後に、初期費用10,800,000円を36ヵ月(3年)で償却するとすれば、1ヵ月当たりは、10,800,000円÷36=300,000円です。
以上のことを考慮して、シビアに収支計画を見直してみると、、、
売上
昼20席×900円×1.6回転×26日=748,800円
夜20席×3,500円×0.7回転×26日=1,274,000円
合計 2,022,800円
材料費は 2,022,800円×32%=647,296円
人件費は 2,022,800円×33%=667,524円
経費は 2,022,800円×10%=202,280円
家賃は 1坪10,000円×20坪=200,000円
本社費は 2,022,800円×10%=202,280円
償却費 300,000円
差引き ▲196,580円の赤字!
・・・出店はとても無理ですね。。。
今回の出店案件の問題は、初期費用の高さと客席数が少ないということです。客席数を30席程度にして、オフィス街という特性を活かして昼の収益を伸ばすような対策が必要です。
初期投資も居抜きの物件であれば、もっと安くつくはずです。バラ色の計画を、少しずつ現実的な数字に修正していくと、あっという間に赤字店舗。 新規出店する際には、十分に収支計画を検討してからにしましょう。
次回は、「ヨシコ・キッチン、いよいよ新店出店?」です。12月20日頃アップ予定。