【補論】個人事業の場合の事業主の人件費

【補論】個人事業の場合の事業主の人件費

2017/06/20

 今までこのコラムで、店舗別損益や人時売上をテーマに取り上げてきましたが、前提として法人による多店舗経営を想定しています。また社長は個々の店舗の運営に直接は従事しない、と考えています。

 

 それでは、個人経営の飲食店はどのように考えればよいでしょうか。

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 個人経営の場合は、事業主は自分で自分に給与を払うのではなく、売上げから諸経費を差し引いて残った利益がすべて事業主のもの、という考え方になっています。実際は、事業主=店長という場合がほとんどですから、事業主=店長の人件費は、会計上は把握されません。

 

 しかし、それでは店舗の収益性を他店と比べることができなくなります。

 

 そこで、店長の人件費を仮計上することをお勧めしています。同業態の他店舗(ライバル店)の店長がだいたいどれくらいの給料をもらっているかを調査・推測して、その金額を店長の給料として仮計上するのです。

 

illust3853 飲食店といっても、高単価で店長の給料が月50万円近い業態もあれば、低単価で店長の給料が20万円強という業態もあります。なので、自店と似た業態の店長給与の相場を参考にします。

 

 仮に相場が額面30万円とすれば、社会保険料約14%も加算して、約34万円が店長給与となります。この34万円を仮計上することで、店舗の損益も、他店と同じような基準で算出することができますし、人時売上も他店と同じような基準で算出できます。

 

 ところで、このように店長給料を仮計上した場合、最終的な利益金額は何を意味するのでしょうか?

 

 それは、事業主=店長が、店長の立場を従業員に譲った時に、事業主が経営者として受け取ることのできる報酬です。経営者報酬です。

 この金額が、事業主にとって、最低限生活していける水準に到達していれば、2店舗目を作って、多店舗展開していく準備が整っていると言えるでしょう。

 

 1店舗のみの経営をされている個人事業主の方で、多店舗展開していきたい、という方は、店長給料を仮計上した後の利益で、自分の生活が成立するだけの利益水準を当面の目標として設定するとよいと思います。

 

次回のコラムは、7月20日頃アップの予定です。

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