2017/04/20
人時売上高とは、1日当たりの売上高を労働時間で割ることで計算します。従業員1人につき1時間当たり、どれだけの売上高を得ているか?を意味します。
人時売上高 = 売上高 ÷ 総労働時間
人時売上高は、高いほど少ない労働時間でたくさんの売上高を得たことになりますから、基本的には高いほうが望ましい値です。
たとえば、1日当たりの売上高が10万円の店があるとしましょう。
従業員・アルバイトが5名いて、1人当たり10時間働いたとすると、
総労働時間は 5名×10時間=50時間
人時売上高=10万円÷50時間=2,000円/h
となります。
従業員・アルバイトの時給が平均1,000円/hとすると、1時間当たり1,000円の人件費を支払って2,000円の売上高しか得られていないことになります。
このとき、人件費1,000円÷人時売上高2,000円=50% となります。売上高の50%が人件費に消えている、ということです。
ここから材料費などを引いていくと、利益が残るとはとても思えませんね。 ヨシコ社長の店は、このような事態に陥っている、ということです。
ちなみに、飲食店における人時売上高の目安は4,000円~6,000円です。
ヨシコ社長の店は人時売上高が2,000円ですから、かなり効率が悪いといえます。
では、どのようにすれば人時売上高を改善して、経営効率を高めることができるのでしょうか。
まずは人時売上高の分母、総労働時間に注目します。総労働時間を減らせば、分母が小さくなりますから、結果として、人時売上高が改善します。
総労働時間を減らすには、、、
(1) シフトの組み方を見直す。
シフトを従業員に任せておくと、どうしても人員が過剰になりがちです。従業員にしてみれば、人員に余裕があるほうが仕事が楽だし、顧客にも満足いくサービスを提供しやすいからです。
このため、シフトを組む責任者には、人時売上高を示して、責任者に対する人事考課の対象とする必要があります。
(2) アルバイトには早く上がらせる。
天気が悪く客足の悪い日には、アルバイトに早めに上がらせます。
また、昔からのアルバイトは顧客と仲良くなっているため、(仲良くなること自体はよいことですが)だらだらと顧客と話をして、労働時間が長くなってしまうこともあります。このようなときにも早く上がらせることが必要です。
(あるいは後述するようにアルバイトにも人時売上高を目標として示すことで、このダラダラ時間のなかで売上高を上げさせるということも考えられます。)
続いて、人時売上高の分子、売上高に注目します。売上高を改善することで、人時売上高が改善します。
(1) 店長、アルバイトに客数・客単価を上げる意識を持たせる。
店長には、売上高の目標を設定していると思います。
しかし、各アルバイトには売上高の目標を設定していなかったり、設定していても、アルバイトはその目標に対して強い意識を持っていません。店の売上高の目標が○○円、というのは、アルバイトの立場からは、遠い世界のように思われるからです。
そこで、店全体の売上高ではなく、人時売上高を目標として示します。アルバイトにとってみれば「自分の時給の3倍の売り上げを得ればいいのか」と具体的にイメージがわきます。
人時売上高は計算するのが簡単ですから、毎日、閉店後に計算することもできます。人時売上高を達成したら、少しだけボーナスをつけてあげるというのもよいでしょう。
人時売上高の良いところは、従業員やアルバイトが、日常の業務において感覚的に理解でき、それを店舗運営の改善につなげることができることにあります。人件費率30%を目指す、と言われても、従業員やアルバイトにはよくわかりません。でも、人時売上高4,000円を目指す、といわれると理解できるのです。
さて、ヨシコ社長は、店舗改善のヒントが得られたでしょうか?次回は、5月20日頃アップ予定です。