2017/03/24
今月は少しマクロな視点で飲食業界を見てみましょう。
まず、
・食堂・レストラン
・そば・うどん店
・すし店
・その他飲食店(主にファーストフード店)
を合せた市場規模を見てみましょう。
1997年の約13兆円をピークに減少・増加と波打ちながら、2015年には約13兆円と同水準になっています。
内訳を見ると、すし店が1000億円程度減少し、その分、そば・うどん店とその他飲食店が増加しています。すし店が消費者から選ばれなくなってきている、ということが分かります。回転寿司店が増えたにも関わらず、すし店全体では市場規模が縮小しているので、町のすし店が淘汰されたことがうかがわれます。
次に喫茶店、居酒屋・ビヤホール等の市場規模を見てみましょう。
喫茶店は1982年の1兆7000億円をピークに2015年には1兆1000億円まで縮小しています。多少持ち直している感はありますが、最盛期に比べると6割強の規模です。
喫茶店についてもスターバックスやドトール、コメダなどのチェーン店が激戦を繰り広げています。昔よく見た街中の喫茶店が、これらのチェーン店に顧客を奪われている様子が目に浮かびます。
居酒屋・ビヤホール等はどうでしょうか。1992年の1兆5000億円をピークに、2015年は1兆1000億円となっています。喫茶店ほどではないにしても、やはり縮小しています。
続いて、料亭・バー等です。
料亭・バー等は、1992年の4兆1000億円をピークに2015年には3兆円になっています。
このようにしてみると、いくつかのことに気付きます。
1. 飲食店の市場規模は多少の波はあるものの、比較的安定して底堅い。
特に、「食堂・レストラン」「そば・うどん店」「その他飲食店(主にファーストフード店)」は堅調である。(すし店は縮小)
2. 喫茶店、居酒屋・ビヤホール等、料亭・バー等はピーク時に比べると、市場規模は、3~4割縮小している。
3. 上記の業態の多くで、チェーン店が目立って店舗を増やしている。
食堂・レストランで言えば、ガスト、ロイヤルホストなどのいわゆるファミレス。
そば・うどん店で言えば、丸亀製麺など。
すし店では、スシロー、くらなどの回転寿司。
その他飲食店では、マクドナルドやモスなどのファーストフード。
喫茶店では、スターバックスや、ドトール、コメダ珈琲。
居酒屋では、ワタミ、塚田農場、鳥貴族など枚挙にいとまがありません。
以上のことから次のように考えました。
●「食堂・レストラン」「そば・うどん店」「その他飲食店」などの、日常的で週に1度以上利用するような飲食店は、底堅い需要があるため、一度固定客をつかめば、比較的安定した経営が可能。
●それ以外の業態では、市場規模が縮小していく上に、チェーン店が激戦を繰り広げているので、競争が非常に激しい。長期的に安定した経営が難しい。
●いずれの業態もチェーン店が展開しているので、小規模飲食店はチェーン店との差別化をいかに図るかがポイントになる。チェーン店の強みは資本力。弱みは機動力の低さ、画一的なメニュー・サービス、店長・店員の顔の見えなさ。
このコラムでは、よく書いていますが、チェーン店との差別化は、今後ますます大事になっていると思います。
次回は、4月20日頃アップの予定!