2017/01/20
業績が低迷してるC店。店のターゲットを
昼:近隣の会社員女性。週に1回、ランチで少し贅沢を
夜:上田さん一家(近隣に住んでいる家族。おばあちゃんも近くに住んでいる)。パパのいない日に、おばあちゃんに助けてもらいつつ、ちょっといいもの食べよう
と定め、競合店に勝つための戦略・戦術を次の通り考えました。
(1) 客単価を1,000円~1,500円→1,300円~1,800円に引き上げる。
(2) メニューの工夫による商品価値の向上
(3) 顔の見える店長
(4) ホームページの見直し
(5) お誕生会パーティー
経営者の仕事は、その店のターゲットを決めることです。
眼の前のお客様に対応することも大切ですが、本質的に大切なのは(経営者にしかできない仕事は)ターゲットを設定することです。
ターゲットを設定するとき、既存の顧客全員をターゲットとしたのでは意味がありませんから、特定の属性の人たちに絞り込みます。このとき、既存客のなかにはターゲットから外される顧客も出てきます。経営者の立場から見ると、申し訳ないですし、もったいない気持ちになります。
しかし、ターゲットを絞り込むことで、ターゲットに設定した属性の顧客の満足度は大きく高まるはずです。広く浅く満足してもらうか、狭く深く満足してもらうか、大企業なら前者を選び、小企業なら後者を選ぶべきです。小企業は経営資源が限られているからです。
また、経営が厳しい状態にあるとき、一発逆転を狙ってターゲットを絞るのは現実的には非常に難しい判断になります。目先の資金が途切れてしまいそうな状況の中で、ターゲットを絞り込むことで、一時的な売上の減少が予想されるからです。ですから、ターゲットを絞って、差別化戦略を進めるのは、業績が苦しくなってからではなく、業績が好調なときにやらなければなりません。
ところが、現実には、このまったく逆にしてしまう経営者が大半だと思います。
業績が好調なとき、
「今までやってきたことが正解だった。今まで通りに同じことをやっていこう。」
と考え現状維持になってしまうばかりでなく、経営者のなかには慢心して他の事業に手を出したり、仕事より経営者仲間での遊びが楽しくなったりして、事業から心が離れてしまうこともあります。
本来は業績が好調で資金が潤沢にあり、人材にも余裕があるとき、経営者がターゲットを絞り込み、差別化戦略を推し進めなければなりません。余裕があるからこそ、一時的な売上の減少や、差別化を実行するための予算を捻出できます。
ところが大半の経営者は、成功したときのターゲットや差別化戦略をそのまま維持して、気付かないうちに経営環境が変わり(消費者の嗜好が変化したり、競合他社が新たな戦略を打ち出したり)、気付いたときには全てが陳腐化し、業績は悪化してしまっています。
そこから新たな手を打つのは大変です。資金には余裕がない、人材流出が既に始まっている、というような状況で、冷静で長期的な経営判断ができる状態ではなくなってしまっているからです。
ヨシコ社長は慢心していたわけではありませんが、なんとなくの現状維持で経営していたようです。
成功体験は早く捨て、経営環境の変化を察知して、会社を素早く対応させていくこと。言うは易し、行うは難し。ですが、それができる経営者を目指していきたいものです。
さあ、ヨシコ社長は、考え方を変えていけるのでしょうか。次回は2月20日頃アップの予定です。