折込広告で顧客獲得!?

折込広告で顧客獲得!?

2016/09/20

 業績不振のC店。

 新規顧客獲得のために以前から折込広告行っています。

 

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折込広告の効果測定

 

  食べログ、ぐるナビなどネット広告が驚くほど普及しました。ですから、いまどき折込広告?と思われるかもしれませんが、郊外店などではいまだに折込広告が行われていますし、それなりの効果を発揮しています。

 

 折込広告を含めた紙媒体の広告は、ネット広告にシェアを奪われた結果、以前に比べると安価になっています。折込広告は使い方によっては強い武器になる可能性を秘めています。

 

 ところで、広告費を使う限りは、費用対効果を測定しなければなりません。

 広告の目的は大きく

  ・新規顧客の獲得

  ・足が遠のいていた既存顧客の回帰 

 にあります。

 

 広告を見て来店してくれたかどうかを把握するためには、クーポンをつけてクーポンを利用してもらうのが一般的です。ヨシコ・キッチンのC店の場合、50万円の広告費をかけて250人の人がクーポンを使って飲食してくれました。

 でも、この250人のうち

  ・新規顧客

  ・足が遠のいていた既存顧客

  ・常連客 

 は、それぞれ何人だったのでしょうか?

 

 顔なじみの常連客の人数は把握できるにしても、新規顧客と既存顧客の区別は難しいでしょう。また、店側のスタッフが新人の場合は、常連客の区別もできません。

 

 そこで一工夫してみましょう。クーポンに簡単なアンケートをつけます。

 「Q1.来店は何回目ですか?」

 「Q2.直近の来店は、どれくらい前ですか?」

 

 Q1.により、新規顧客か否かを判断できます。

 Q2.により、足が遠のいていた既存顧客か、常連客かを判断できます。

 

 ヨシコ・キッチンでこれを実施してみたところ

  ・新規顧客150人

  ・足が遠のいていた既存顧客50人

  ・常連客50人

 という結果でした。

 

 また、クーポンを使った250人に500円の割引きしていますから、250人×500円=125,000円も、広告費と言えます。

 

 ということは、実質的には広告費625,000円で200人の新規顧客・足の遠のいていた既存顧客を獲得したことになるので、625,000円÷200人=3,125円が本当の顧客獲得コストと言えるでしょう。

 

 ヨシコ社長の2,000円という試算とは、だいぶ差がありますね。

 

 

クーポンにつけるサービスの選び方

 

 C店では折込広告に500円割引券をつけていました。顧客からみると「500円割り引いてくれてラッキー!」なのですが、店側からみると「利益がまるまる500円減少」となってしまいます。

 

 そこで、例えば、500円相当のドリンクを1杯サービスとするのはどうでしょう?

 

 顧客から見ると「500円相当の商品がもらえてラッキー!」です。

 店側から見ると「500円相当の商品の原価、仮に原価率が40%とすれば200円の利益減少」となります。顧客側の受け止め方は同じ、500円ラッキー、ですが、店側からすれば、残る利益が300円も違ってきます。

 

 今回の場合、250人の顧客がクーポンを利用していますから、250人×300円=75,000円も利益が変わってきます。

 

 

顧客獲得コスト3,125円は見合うのか?

 

 話しを戻して、顧客獲得コスト3,125円は、費用対効果の観点から合理的なのでしょうか?

 

 C店の客単価が5,000円とし、売上高の4割が利益に貢献してくれるとしましょう。客単価5,000円×40%=2,000円から500円割引券を引いた1,500円が、店に残る利益です。顧客獲得コスト3,125円>利益1,500円ですから、費用対効果が合いません。

 

 それでは、200人がリピートしてくれたらどうでしょうか?2回目の来店では、5,000円×40%=2,000円が店に残る利益です。

 

 1回目の利益1,500円と2回目の利益2,000円を合計して、顧客獲得コスト3,125円<利益合計3,500円。やっと広告費がペイすることになります。実際には200人全員がリピートしてくれることはないので、もっと厳しくなります。

 

 お金をかけた広告宣伝は、このように多くの顧客がリピートしてくれることが前提となります。ですから、商品力が低かったり、サービス力が低い状態で、どれだけ広告宣伝にお金を使い新規顧客を獲得したとしても、リピートを生み出しませんから、結局のところ店の利益が減る結果になってしまいます。

 瞬間的に店は忙しくなりますし、繁盛しているような錯覚に陥りますが、現実はかえって利益が減少するのです。

 

 折込広告に限らず、広告宣伝費の費用対効果をよく考えることが重要です。ヨシコ社長も、C店の広告宣伝について、一度見直してみる必要がありそうですね。

 

 次回は10月20日ごろアップ予定です。

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